壁紙の張り替え、そのあとの「浮き」について

なんだか、壁紙の一部が
ふわっとふくらんで見える…。

張り替え直後や雨降り・梅雨時期の度に現れる…
指で押すと、ぺこっとへこむ。
「これってもしかして、空気が入ってるのかな?」

そんなご相談をいただくことが時々あります。

実際、壁紙の「浮き」は、見た目以上に気になるものですよね。
いったい何が原因なのか、ほっておいても良いものなのか…。
よくわからないまま、過ごされている方も多いのではないでしょうか?

実はこの「浮き」原因も対処法もひとつではありません。

今回は、そんな “壁紙の浮き” について
よくあるケースと、私なりの考え方をご紹介します。


浮きの原因はいろいろです

一見すると「空気が入っているのかな?」
まさか「空気の抜き忘れ?」と思ってしまう膨らみ。
ですが、その下にはいくつかの要因が潜んでいます。

たとえば、人的要因として

  • 壁紙の圧着不足(空気の抜き忘れ)
  • 糊の接着不良(濃さ・量・種類) など

自然要因として

  • 結露や湿気(糊のゲル化)
  • 下地壁の動き(地震など)

また、使用されている

  • 壁紙糊やパテ(下地調整剤)の種類
  • 下地壁の素材の違い など

上記内容によっても、工事後の不具合でもある「浮き」は起こりやすくなります。

表面のパテ粉で糊がとられ接着が効いていない状態と
下地壁の動きでミミズ腫れのように浮いた状態
時代背景との関係

余談ですが、それぞれ家を建てた年代。当時の時代背景によっても、施工方法や内容・使用されている副資材(パテや糊など)は異なります。正直、いいものもあれば、そうではないものも…。今や行われない工法や、使用されない商品などさまざまです。

ほとんどの「浮き」の正体

壁紙張替え後に起こる「浮き」。
そのほとんどの正体が壁紙の剥離紙「うら紙」にあります。

壁紙の「うら紙」とは

壁紙の裏側に加工されている「剥離紙」のことです。壁紙を壁から剥せるように設計されています。また、「うら紙」は壁紙を剥すごとに、壁側にうすい紙が一枚づつ残ります。

接着の効いていないうら紙は、糊の水分を含むことで浮いてきます。

ほとんどの場合、「浮き」の原因は既存おこなわれている作業の接着不良によるケースが多いです。

「浮き」が消えてなくなる?

浮きが消えてなくなるのではなく、
目立ちにくくなっている状態です。

ふやけているうら紙は、水分が抜けることで “ぴん”と張ります。
そのため、工事直後は浮いているように見えても、通常であれば時間とともに目立たなくなります。

しかし、下地壁にしっかりと接着されているわけではなく、あくまでも目立ちにくくなっている状態です。
雨降りや湿気が多い時期に、再度浮きが現れる可能性を秘めています。

しっかりと壁に接着・密着させるには、浮いているうら紙の裏に糊を入れて圧着しなければなりません。

「浮き」が無くならないもの

壁紙の種類や状況によって
浮きが残りやすいケースがあります。

たとえば、

  • 和紙や紙素材
  • 布製品やオレフィン・自然素材
  • 表面加工された壁紙 など

これら壁紙製品は浮きが残りやすいです。

また、浮いている範囲・面積が大きい
何回もの張り替えでうら紙が厚くなっている
浮いているうら紙の上からパテで固めた場合なども、
「浮き」がなくなることはありません。

色物や「うすい壁紙」は、浮いている部分に糊をいれても「跡」が残りやすくなります。

そのことで起こりうること

「紙素材」は、水分を含み乾燥するたびに膨張・収縮をくりかえします。

そのため、壁紙もひっぱられ継ぎ目の開きや剥がれ」の起こるリスクは高くなるといえるでしょう。
また、下地壁と壁紙の間に「空間」ができることで、カビが繁殖しやすい環境になります。

大切にしていること

当店では接着の効いていない部分は
すべて手作業で取り除いています。

実際、表面上の目に見える部分よりも、
こうした「見えない部分」にこそ、工事後の不具合が隠されているケースが多いです。

起こりうる可能性を「いかに抑えることができるのか?」。
そのことを予測し、改善することもリフォームでは重要な課題だと考えます。

すべて、「あとから困らないために」
やっていることです。
当店では、すこしでも長くきれいな状態でお使いいただくために
接着の効いていない部分を取り除いています。

さいごに

正直、壁紙の「浮き」は、
小さい範囲であれば、部分的な補修で済むこともあります。
逆に、接着の効いていない部分。根本的な原因を取り除かないと再発しやすいケースも。

「どうしようかな…」と迷ったときの選択肢のひとつとして、
この記事や当店を思い出していただけたら幸いです。

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